『幕が上がる』映画化、ももクロとの日々

2014年11月05日

 いまは、羽田からパリに向かう機内です。ここでも、ネットが繋がります。便利になりましたね。
これから、アンドロイド版『変身』ヨーロッパ公演です。まず今日は、パリで飛行機を乗り継いでブダペストまで。今週金曜日にブダペストの演劇祭で初日を迎えます。
 
さて、今朝早くに、私の小説『幕が上がる』映画化の情報が公開されました。

ももクロ

http://makuga-agaru.jp/
http://www.barks.jp/news/?id=1000109359

 ここまで長い間、周囲の方にも秘密にしていてすみませんでした。ご容赦下さい。
これまでの日記の中でも、「都内某所でワークショップ」といった記述があるのは、だいたい、このももクロさんとのワークショップでした。3時間から4時間のものを五回くらい、がっつりやりました。最後は、少し、芝居の稽古も付けました。
 というわけで、今年は、イレーヌ・ジャコブとももクロを往復しつつ、その間に『暗愚小傳』と『秋田内陸阿房列車』を創るという、とてつもなくスリリングな夏でした。
7月にパリでアンドロイド版『変身』のプレ稽古をしていた際は、実際に、イレーヌとこんな会話をしました。
「明日、もう帰るの? あわただしいわね」
「いま、日本のとても有名なアイドル歌手のグループと、僕の原作で映画を撮ることになっていて、演技の指導をしなくちゃならないから」
「それって、スパイスガールズみたいな子たち?」
「まぁ、そんな感じ」
イレーヌ・ジャコブの歳が分かるというか、ももクロもいきなり国際的になったというか、さて、どちらでしょう。

先日のゲンロンカフェでも、東浩紀さんから『幕が上がる』の話を何度か振られたのに、ちょうど情報公開二日前という微妙な時期だったので、口を濁してしまいました。申し訳なかったです。しかし、すでにモノノフさんの間では、ネット上で話題になっていたので、会場から質問など出ると、どうしても嘘をつかねばならず、この話題は極力避けたかったところでした。すみません。

『幕が上がる』は、朝、情報公開があってから、amazonでは瞬殺で売り切れになったようです。そして、いま見てみると「ハ行の作家 1位」という、よく分からない称号が。このカテゴライズは前から、どんな意味があるのか気になってはいたのですが、「ハ行」には、東野圭吾さん、百田尚樹さんという、売り上げでは一生勝てないだろうと思われる方たちが並んでいたので、縁のない世界と思っていました。おそるべしももクロ、おそるべしモノノフ。
文庫本の発売は、12月12日です。今朝、最終校正を終えて投函してきました。

 コメントにも書きましたが、映画は、本当に美しい出来になりました。
 あまり報道にはありませんが、『桐島、部活やめるってよ』のシナリオを書いた喜安浩平さんの台本が、本当に素晴らしく、原作を生かしながら、それ以上のものを創ってくださいました。先生役の黒木華さんも、とても素敵で、新しい側面も見せてくれています。
 様々な演劇界出身の方たちの力を借りて、この映画を皆さんに届けられることを何より誇りに思います。