台湾から帰国

2014年4月07日

台湾から戻ってきました。

すでにお知らせしましたが、新学期ということで、今週は珍しく、三つ、一般向けのワークショップが開催されます。以下の二つは、たぶん、まだ受付中です。

http://www.sekigaku-agora.net/course/hirata_oriza.html

http://cul.7cn.co.jp/programs/program_511406.html

 こちらは長期の講座で、今学期の応募は締め切っています。

http://www.fringe-tp.net/wsdtp/

 以下、内田樹先生のブログですでに公開されていますが、台湾での学生運動の報告です。内田先生と佐藤学先生にメールしたものです。とりあえず、今日は第一報分。

 佐藤先生と入れ替わりで、四月一日から台湾に来ています。国立台北藝術大学で五日間の集中講義(ワークショップ)をしています。

 立法院の占拠は、政府が強攻策をとるという噂もあれば、このまま持久戦に持ち込んで学生が疲れるのを待つのではないかという説もあります。今週は台湾の大学は、もともと休みなので(私は、その期間を利用して行う公開講座の講師として呼ばれたのですが)、大学が再開される来週からが山場かもしれません。

 私がいまいるのは、芸術系の大学ですので、教授陣も全員が学生側を支持しています。今回は特に、「サービス貿易協定」で言論の自由を実質的に封殺される可能性の高い演劇、映画、出版界などからの支持が強いようです。
 30日(日)のデモには50万人、全国では70万人以上の人々がデモに参加したといわれています。「台湾の人は普段は政治に無関心な人間が多いのに、これは異常な数字だ」と、私を招いてくれた教授も言っていました。馬英九の支持率は、実質は5%を切っているのではないかと噂されています。

 今回の学生運動と、その支持が大きく広がったのは、運動の過程を通じて、中国資本の浸透が思っていた以上に進んでいたという事実が、はからずも露呈したということがあるようです。
 たとえば、地方から運動に参加する学生たちがバスをチャーターしようとしたところ、多くのバス会社に中国資本が入っており、バスを貸さないという事態が起こった。あるいは、テレビは中国資本の影響(直接的な資本参加とCMのスポンサーとしての影響)が強いので、公平な報道をしていないといった事実。こういったことが重なって一般市民が危機感を強めたようです。
たまたま、先週は香港にいたのですが、香港でも、中国資本による柔らかい言論封殺への危機感が叫ばれていました。30日のデモでは、香港でも800人の市民が連帯を示すデモをしました。
私の中国の友人も、「いま中国は、共産党とグローバリズムの二つの抑圧を受けている」と言います。韓国などでは成立した「経済の繁栄が民主化を促す」というモデルが、完全に破綻した世界に、私たちは生きていると認識すべきなのかもしれません。