青年団リンク キュイ

『TTTTT』

劇作・企画プロデュース:綾門優季(青年団)
演出:
『人柱が炎上』下田彦太(青年団)
『景観の邪魔』橋本清(ブルーノプロデュース)
『非公式な恋人』鳥山フキ(ワワフラミンゴ)

2017年5月4日(木)- 5月14日(日) 14ステージ

綾門優季が「近未来の都市」をテーマに描いた短篇三作品を、意匠異なる演出家3名が連続上演!

▽今回、綾門がコラボレーションの相手に選んだのは、それぞれ全く作風の違う3名。一体どのような上演になるのか、誰も想像することが出来ないに違いない。この場では、作品紹介にかえて、それぞれの演出家へのレコメンドを掲載する。



▼木下美紗都(ミュージシャン)→下田彦太

下田彦太君は昔からの知り合いで、まだ学生の年の頃に出会った友人の一人だ。当時下田君は映画を、私は音楽を作っていた。一緒に作品を作ることはなかったけれど、時折活動の様子を見かけた。下田君は人が集まる場所にいる時いつも会話を賑わせ、パッと場を沸かせたりした。並々ならぬ沸かせっぷりを何度か見たことがある。たぶん空気の紐をたくさん持てる人なのだ。一昨年、下田君が劇を作ったというので観に行った。下田君は今舞台の何かに魅かれていて、それは何なのだろうと漠然と考えた。かつても今も、志している何かについてちゃんと話を聞いてみたことはないけれど、自分のいる時代や場所にアンテナを張りながら、そこにある空気をキャッチする、そこにある人々の意識にそれを問い返そうとする下田君の姿勢は変わらないようにも思った。



▼中野成樹(演出家・中野成樹+フランケンズ主宰)→橋本清

①かつて「清の芝居はセカオワみたいだね…」と皮肉を言ったら、「本当ですか…? 嬉しいです!」と返されました。②少し前、彼は積極的/野心的な活動の果てに作品を創れなくなり公演をトバしました。「ちょっと焦りすぎたね」と言ったら、「はい…」と返事をくれました。③僕はそれを「小劇場業界での生き残り戦略」をイメージして言いました。しかし彼の「焦り」はそこにはなかった。④たとえば清(たち)の母校である日本大学芸術学部には、こんなコピーがあります。「ふつうじゃない、が、ふつうです」 ⑤でも清は単純に「ふつう」です。ふつうの悦びをふつうに悦び、ふつうの怒りをふつうに怒る。闇雲に捻くることに興味がない。⑥おそらく彼はかつて、世界に終わりを感じました。しかしそこにある絶望にも希望にも手を伸ばせず(だってふつうに怖いから)、それを焦ってしまった。ではいま彼は何に手を伸ばすのか。どのみち綾門作品との相性、超よさそうじゃないですか?



▼クリス ・グレゴリー(演劇研究者・翻訳家)→鳥山フキ

鳥山フキの芝居は、一見他愛のないユーモラスなおしゃべりのようだが、作品の奥底には不穏が潜んでいる。キュートでふわふわした会話や舞台上のイメージがまるで夢の原理かのように展開し、意味と無意味の狭間を探りながら笑いを誘う。突飛な展開や論理の飛躍に満ちているけど、完全に現実離れしているというわけではない。常に日常生活に対する不安や、人間関係への不満をさりげなく匂わせる。芝居を観ている間に、溢れているユーモアに気を取られ、愉快で温かな気分になる。しかし、終演後の余韻は、意外なほど冷たく、やがてわだかまりとなる。ツボにはまった不条理な台詞や滑稽な動作を思い出した後で、その温かい笑いが収まると、鋭く冷徹な何かが心を突き刺す。軽やかな冗談と芯に迫る洞察力の絶妙なバランスを保ち、観る者を楽しませながら崖っぷちに立たせる。



キュイCui?

2011年、綾門優季を主宰として旗揚げ。専属の俳優を持たない、プロデュース・ユニットとして活動を開始。劇作を綾門が担当し、外部の演出家とタッグを組みながら創作するスタイルを基本としてしる。2016年より、Cui?から青年団リンク キュイにユニット名を改称。


綾門優季 Yuki Ayato

1991年生まれ、富山県出身。劇作家・演出家・青年団リンク キュイ主宰。青年団演出部。2013年、『止まらない子供たちが轢かれてゆく』で第1回せんだい短編戯曲賞大賞を受賞。2015年、『不眠普及』で第3回せんだい短編戯曲賞大賞を受賞。


下田彦太 Hikota Shimoda

1980年東京生まれ。映像ディレクター/演出家。武蔵野美術大学映像学科卒。在学中に映画制作を学び、卒業後はCMディレクターとして活動。その傍ら、2013年からこまばアゴラ劇場"無隣館"に参加。現在は演出部として青年団に所属。日常的な会話による小さなシークエンスの中に、よりスケールの大きな問題意識を立ち上がらせる作品作りを旨とする。



橋本清 Kiyoshi Hashimoto

1988年8月ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。演出家。日本大学芸術学部演劇学科卒。在学中にブルーノプロデュースを設立する。 2011年10月以降、東京・神奈川・福岡などの様々な地域で、個人の《記憶》をベースに演劇作品を構成する《ドキュメンタリーシリーズ》を展開。2012年9月からの三年間、「坂あがりスカラシップ」対象者として横浜を拠点に活動を行ってきた。断片的なエピソードを組み合わせ、記憶の持つ瞬間的な鮮やかさと儚さを劇場空間に立ち上げる演出が特徴的。


鳥山フキ Fuki Toriyama

1977年東京生まれ。劇作家・演出家・ワワフラミンゴ主宰。2004年ワワフラミンゴ立ち上げ。楽しく、不思議な作風。すべてを脱力化する劇作が特徴。短編で本牧アートプロジェクト、福島クダラナ庄助祭り、テアトロコント他多数の企画に参加。作品に「野ばら」、produce lab89 presents「夢十夜を遊ぶ夜」他。

出演

『人柱が炎上』
鶴田理紗(無隣館/白昼夢)

『景観の邪魔』
串尾一輝(青年団)
坂倉花奈(青年団)
李そじん(青年団/東京デスロック)

『非公式な恋人』
黒木絵美花(青年団)
多賀麻美(青年団)
北村恵(ワワフラミンゴ)
原口茜(ワワフラミンゴ)
柳沢茂樹

スタッフ

照明:井坂浩(青年団)
音響:櫻内憧海(無隣館/お布団)
音楽:涌井智仁
映像:得地弘基(お布団/東京デスロック)
舞台監督:野島結
ドラマターグ(『人柱が炎上』):森麻奈美
衣装:原田つむぎ(東京デスロック)
フライヤーデザイン:浦上悠平
制作:有上麻衣(青年団)
総合プロデューサー:平田オリザ
制作協力:木元太郎
技術協力:大池容子

日時

2017年5月4日(木)- 5月14日(日) 14ステージ

5月4日 14:00◎  19:30◎
5日 14:00◎  19:30◎
6日 14:00  19:30
7日 14:00  19:30
8日 休演日
9日 休演日
10日 19:30
11日 19:30
12日 19:30
13日 14:00 19:30
14日 14:00
受付開始=開演の20分前、開場=開演の15分前。
◎=前半割
会場

アトリエ春風舎

東京メトロ有楽町線・副都心線/西武有楽町線「小竹向原」駅 下車4番出口より徒歩4分
東京都板橋区向原2-22-17 すぺいすしょう向原B1 [google map]
tel:03-3957-5099(公演期間のみ)

※公演期間以外のお問い合わせはこまばアゴラ劇場(03-3467-2743)まで。
※会場には駐車場・駐輪場がございませんので、お越しの際は公共交通機関をご利用ください。
料金

<予約・当日ともに>
  前半割(◎の回):2500円
  一般:3000円
  高校生以下:1500円
 

*日時指定・全席自由・整理番号付
*高校生以下は当日受付にて年齢を確認できる証明書をご提示ください。
*未就学児童はご入場頂けません。
チケット
発売日

2017年4月8日(土)

チケット
取り扱い

青年団

 03-3469-9107 (12:00 - 20:00)
お問い合わせ

青年団

 03-3469-9107(12:00 - 20:00)

キュイ

 cui99iuc@gmail.com
  企画制作:キュイ/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
助成:平成28年度文化庁劇場・音楽堂等活性化事業