『ソウル市民1919』(2000年初演)

 『ソウル市民1919』は、2000年に初演され、大きな話題を呼んだ作品です。その後、韓国では、2004年にイ・ユンテク氏の演出で上演され好評を得ました。また、2007年にはフランスのマルセイユ国立演劇センターで、フランス語版(フランク・ディメック演出)の上演が予定されています。

 この作品は、『ソウル市民』の続編として、まったく同じ篠崎家の10年後の生活を描いています。しかしながら、『ソウル市民』が淡々とした日常を描いているのに対して、本作品は三・一独立運動の、まさにその日の午前中という歴史的時間を切り取った作品になっています。

 劇の構成は、音楽をふんだんに交え、コミカルなイメージで進んでいきます。植民地支配に潜む不条理性や支配者の滑稽な孤独が、ブラックな笑いに包まれて、深く静かにつづられていきます。
『ソウル市民1919』(2000年6月 シアタートラム)©青木 司

●ものがたり

 1919年3月1日ソウル(当時の呼び名は京城)。この街に住む日本人の一家、篠崎家の人々は、今日も平凡な日々を過ごしている。ただ、今日は少しだけ外が騒々しい。噂では、朝鮮人たちが、通りにあふれているという。
 おりしも、相撲興行の一行が到着し、応接間は賑わいを見せる。
 オルガンの練習に興じる娘たち。米増産の標語に頭をひねる書生たち。しかし、その間にも、少しずつ、朝鮮人雇用者が、この家から姿を消していく。

 この物語は、『ソウル市民』同様、一家の応接間を通り過ぎる幾多の人々の、とりとめもない会話の断片によって構成され、その断片の連続の中から、様々な事件が垣間見える構造となっている。ただし、本作は、三・一独立運動という、日本の植民地支配の歴史上、最も激しい抵抗運動を背景としており、その分、支配者日本人の滑稽な孤独は、より一層、鮮明な形をとって表される。
●出演者
文房具店店主
謙一の妻
叔父
慎二の妻

腹違いの弟
書生

女中

篠崎謙一・・・
篠崎良子・・・
篠崎慎二・・・
篠崎民子・・・
篠崎幸子・・・
篠崎吉二郎・・・
山科徳五郎・・・
岩本健之助・・・
福島とめ・・・
大下いく・・・
山内健司
天明留理子
大塚 洋
根本江理子
辻美奈子
小河原康二
永井秀樹
太田 宏
田原礼子
高橋 縁
朝鮮人女中

印刷屋


力士
興行師
番頭
吉二郎の恋人
オルガンの先生
映画館の朝鮮人
金美玉・・・
朴貫礼・・・
堀田和夫・・・
堀田律子・・・
堀田由美子・・・
甲斐ガ岳・・・
菊池・・・
川崎慎吾・・・
渋谷絹子・・・
島野・・・
全英花・・・
ひらたよーこ
申 瑞季
篠塚祥司(客演)
根上 彩
たむらみずほ
島田曜蔵
秋山建一
佐藤 誠
月村丹生
木崎友紀子
三室友紀