『ソウル市民 昭和望郷編』(新作)

 ソウル市民三部作の完結編にあたる『ソウル市民 昭和望郷編』は、一連の作品の中核をなす文房具店一家篠崎家の、日本植民地支配下のソウル(当時の呼び名は京城)での、1929年の秋の一日の穏やかな午後を描きます。

 1929年、日本国内は、関東大震災後から断続的に続く不景気から抜け出しきれずに、重苦しい空気に包まれていました。しかし、植民地下の京城では、相次ぐ大型百貨店の開店など、本格的な大衆消費社会の到来が始まり、ある種のにぎわいを見せ始めていたのでした。

 ただ、そのにぎわいは、逆に言えば植民地支配の恒常化を意味していました。20年近い植民地の歴史の中で、すでに植民地支配下で生まれ育った若い世代の朝鮮人も登場してきます。
 また、軍の一部には、満州への進出を企て、停滞した局面を打開しようという勢力も現れます。
そして、満州への展開が、朝鮮にとっても多大な利益をもたらすという幻想が流布されていきます。

 繁栄を謳歌したアメリカにも不況の影が忍び寄る1929年秋、軍部の暴走とファシズムの時代の前夜、つかの間の饗宴を楽しむような、一群の若者たちの姿が、鋭く描かれます。

●ものがたり

 1929年、日本の植民地支配下のソウル(当時の呼び名は京城)に暮らす、文房具商の篠崎一家。この街で、最も古くから商売を続けるこの店にも、大衆消費社会の波が押し寄せ、新しい経営感覚が求められていた。

 この家の長女寿美子には、アメリカ帰りの新進企業家との縁談が持ち上がっているが、寿美子はどうも、この新しいタイプの経済人を好きになれない。
 長男の真一は、精神を病んで、入退院を繰り返しているのだが、本当は家督を継ぎたくないための仮病ではないかと疑われている。
 この家の書生で、京城帝国大学の第一期卒業生として、朝鮮総督府にこの4月から勤めるようになった李齊源は、朝鮮人のエリートとして植民地支配に協力することに悩む。
 おりしも、満蒙地域との文化交流を目指す「満蒙文化交流青年会」の一団が、篠崎家を訪れる。

 それぞれの思いを胸に秘めながら、京城の秋の一日は、ゆっくりと過ぎていく。
●出演者









寿美子の婚約者
書生
篠崎寿美子・・・
篠崎清子・・・
篠崎真一・・・
篠崎嘉子・・・
篠崎幸平・・・
西宮愛子・・・
西宮太郎・・・
篠崎吉二郎・・・
篠崎佐江子・・・
袴田宗五郎・・・
芦田虎之助・・・
植田哲夫・・・
李 齊源・・・
井上三奈子
福士史麻
松井 周
荻野友里
山本雅幸
高橋智子
小林 智
永井秀樹
森内美由紀
古舘寛治
河村竜也
古屋隆太
キム・ミンソ
女中

朝鮮人女中

印刷屋

満蒙文化交流青年会



看護婦
もう一人の看護婦
須田・・・
横山・・・
孫美麗・・・
趙 文子・・・
堀田由美子・・・
堀田時次郎・・・
呉竹菊之丞・・・
人見木綿子・・・
石井パク・・・
楼蘭真理・・・
平岩康子・・・
相馬すずえ・・・
工藤倫子
鈴木智香子
長野 海
渡辺香奈
山口ゆかり
大竹 直
山本裕子
村田牧子
二反田幸平
端田新菜
後藤麻美
堀 夏子