昨日はワールドカップの開幕。
今朝早速、地元の新聞を見て青年団の松尾君が勝敗をチェックする。
フランスが一回戦負けたらしい。
なんとも波乱含みの開幕のようだ。
で、我々はというと、のどかなスイスの朝早く屋外で朝食を取り、
エイグルの小さな駅へと向かう。
7時半の列車。
松尾君はジュネーブへそして我々は一路ナポリを目指してアルプスを下る。
予定では夕方6時半にナポリ中央駅に到着。
およそ12時間近い列車での旅。
今日は一日列車移動なので、昨日ムーラン・ヌフで観た芝居についてここで、、。
演出と美術は去年の夏、青年団の北海道公演に同行していたスイス人?女性デニス。
作品はサミエルベケットの「幸せな日々」。
スイスは公用語がフランス語、ドイツ語、イタリア語というように
地域によって日常使用されている言語が別れる。
このエイグルはフランス語圏で、今回の上演もフランス語による上演。
演出のデニスはドイツ語圏出身なのだが、フランス語、イタリア語、英語、スペイン語が
話せるという。ヨーロッパは凄い、そういう意味では。
それで内容はというと。
登場人物は2名。
日本ではかなり昔に旧真空管のアトリエで観たことがある演目で、そのときの印象は
ただただ、なにも起こらず、老婆が淡々と独り言で昔を回想するというなんだか地味で
長い芝居という印象だったが、今回のこのデニスの演出はシンプルかつテンポもよく、
視覚的にもとても印象的な作り方で、言葉がわからないにも関わらず、観ていて飽きなかった。
舞台には全面に水が張られ、登場人物は中央にある浮島のような白いオブジェの中に居る。
一幕の冒頭では水にドライアイスの煙が漂い、二幕ではチューブライト
(おそらく光ファイバー)で豆球のような明かりが綺麗にきらめく。
一瞬、え?水中に明かりって、でも人が水に入っているし、
感電とか防水とかどうなっているのだろうか?、、、。という疑問が沸いたが、
終演後、その仕掛けを見せてもらい納得。
舞台奥で灯体から光りを出して、それをグラスファイバーに通すという、
単純だがうまく考えられた仕掛け。
サウンドはすべてオリジナルで、CDも販売。
チラシの写真はデニス自らが旅の車内で出会った老夫婦を撮ったものだという。
少ない予算で、効果をあげる。
派手ではないが、デニスの人柄が出ているまとまりのあるよい公演だったという印象。
---今日のひとくちイタリア語---
リュミエールまた、ナポリに帰ってきた。
昨日の12時間の列車旅行が尾を引いている。
今日は一日休息。
とはいかず、早速下見してきた図面のトレースを始める。
なんだかんだともうこの研修に残された期間も3ヶ月を切ってしまった。
そろそろ、色々と整理を始めないと。
しかし、日本は急がしそうだ。
帰ったらすぐ、青年団の旅公演が待っている、そしてそれが
終わるか終わらないかの内にダブリンに先乗りして、海外公演の為の
装置を作らなければならない。
とりあえず、日本への帰還につてい考え始める。
さあ、どうしたものか。
見えない羊を数えながら。
---今日のひとくちイタリア語---
numeroアカデミアの今年度の授業もそろそろ終わる。
イタリアは9月〜11月始まりで、年度の終了は6月。
だから7,8月はバカンス。
しかし、卒業公演は様々な都合上、今年の12月に上演される。
残念ながら私はだからそれには立ち会えない。
アカデミアの授業に出て、午後は工房へ向かおうと考えていたが、
ロンドン在住の友達がナポリにバカンスで遊びに来ているので、
電話して待ち合わせる事に。
ポンペイからの帰りの小畑夫妻とミハルちゃんに、駅からの大通りで待ち合わせ。
既に彼らはナポリのこの喧噪に参っている様子。
それに今日の午後はちょっと物騒だったのだ。
というのも、今日の現地時間1時半より、日本、札幌のスタジアムで行われる
ワールドカップ、イタリアの初戦があったのだ。
アカデミアでもみな授業をそそくさと引き上げて家に帰る。
そして、通りのお店はみなテレビでの観戦に熱中している。
もしかするとバスも電車も止まるかもといった勢い。しかし、こちらはとりあえず
動いている模様。
おもしろかったのは逆にこの時間、通りに人が殆ど居なかったことだ。
だから、道で待ち合わせてもかえって彼らを見つけやすかったぐらいだ。
街ではイタリアが一点入れるたびにどこかで爆竹が鳴り、ラッパの音がする。
普段はあまり見ないイタリア国旗が洗濯物に混ざってはためいている。
だから、テレビが無い我が家でもラジオをつけて街の喧噪を聞いていれば、
まるでスタジアムにいるように、その熱狂が伝わってくる。
ああ、当分日本とイタリアが対戦しないようなので、身の危険はないが、、。
もし、イタリア対日本の試合の時にはちょっとここにはいたくない。
---今日のひとくちイタリア語---
partita
工房も私の周りも俄然忙しくなってきた。
一週間ぶりの工房は早くも次の巨大野外公演の為のセットの
製作に入っていた。
ほぼ工房全面を使ってもまだその半分しか組み立てられない巨大な舞台面。
その半分の可動床の鉄骨組がほぼ完成している。
キャスターはドイツのメーカーのものをミラノの代理点から取り寄せて使用。
なんでも、一個あたり500kgもの耐荷重の重量キャスターらしい。
そして鉄骨はおなじみいつもこの工房が頼んでいる鉄骨屋さんがやってきて、
この仮組の現場で残りの細かい溶接をしながら組んでいく。
やはりこれだけ大きな作業場がないとこの手の作業ははかどらない。
いつもより助っ人も多くやってきている。
去年の12月の忙しい時期に来ていたメンツに久しぶりに会う。
そして、私も秋の青年団ヨーロッパ公演に向けて、工房のスタジオで図面を描いている。
また、トニーノさんに頼まれた図面のデジタル化も同時に進めながら、、。
しかし、工房の2階、スタジオから見えるナポリ湾は綺麗なものだ。
手前に工場があるが、その遠くにはカプリ島が浮かび、右方向には遠く
卵城、ナポリの海岸線が見える。
6月のナポリ、潮風は乾いている。
---今日のひとくちイタリア語---
brezza marina
下見からの帰り強行日程が祟ったか、
頭痛がする。ちょっと風邪をひいたようだ。
今日は家で図面を描き、そろそろ引き上げなければならないこの
ナポリの家の整理について考える。
一年はやはりあっという間だ。
---今日のひとくちイタリア語---
mal di testa
今日はイスキアに泊まっていた、小畑一家が
夕方の飛行機でナポリからロンドンに帰るというので、
半日行動を共にする。
また駅近くで待ち合わせして、我々が住む旧市街の方へ連れ込む。
もう、だいぶナポリの街の雰囲気にも慣れてきた様子。
ナポリのドーモを見学して、家の近くのおいしいピザ屋で昼食。
午後は彼らは考古学博物館を見学。
そのあとまた会ってモンテサントの上、サンエルモの城塞まで
いっしょに登る。
小畑君とミハルちゃんが長い階段であえぐ。
今日はなんだか蒸し暑い。
ロンドンはなぜかいまバブルだそうだ。
イタリアはこんなにさえないのに。
階段の途中、遠くに見えるナポリ駅前の丹下健三が都市計画をしたという
再開発地区の高層ビル群を見ながらそんな話し。
やたら、小畑君が道行くナポリの人から時間を聞かれる。
やっぱり雰囲気がそうさせるのか。
私はよく観光客に写真を撮ってくれと頼まれるのだが、、。
いつもの丘の上からのナポリは今日は曇っている。
遠くベスピオのふもとの方が少し見えるだけ。
知り合いが来ると必ずといってよいほどここにやって来る。
ナポリの旧市街が一望できるベストポイント。
定点観測といったところ。
それから、また坂を下りて、ピアッツア・カリタにあるこれまたおいしい
ジェラート屋さんに入る。
みんな一応満足といったところ。
なかなか来ないバス停で駅へのバスを待っていたら、オペラ歌手のナカヤマさんに会う。
やはりナポリは小さな街だ、その点では。街を歩いていると知り合いによく会う。
小畑一家を送り出し、今度は久しぶりに会ったナカヤマさんと一時共に。
夜は、奥さんと子供がまだ日本に戻っているということで、
独り身の彼を家に呼んで夕食会。
今日もナポリの一日が暮れていく。
---今日のひとくちイタリア語---
che ore sono?
今日は風が強い。
昨日の雲が飛ばされて、工房からはカプリや遠くソレントの海岸線が見える。
梅雨の無い6月というのはなんとも不思議な感じだ。
雷が轟き、一雨ごとに空気が熱くなり、
その雨が上がった空の向こうに入道雲が見えてくる。
日本の春から夏への季節の変わり目はとても明確だ。
しかし、こちらでは春の延長に夏がやってくる。
日差しは熱くても空気が乾燥しているので、風が強い
日陰では肌寒かったりする。
身体にまとわりつく空気の密度が日本とは全く違う。
様々な建築の形態の違いはやはり風土が決定する。
日本の場合、湿度と地震がやはり決定的にこの
建築の違いをもたらす。
そんな目でこのイタリアのナポリの街の建築をみるとおそらく
80%〜90%は日本の建築基準法では合格しない住居だろう。
小さな開口部、細い柱、レンガの壁面、筋交いの量等々。
しかし、この街はこの状態で何千年も存在してきたのだ。
そして、世界にはきっとそんな街が沢山ある。
梅雨の無い6月がなんとなく、夏になっていくように、
街はなんとなくギリシャやローマからそのまま存在している。
---今日のひとくちイタリア語---
stagione