杉山至のイタリア日記

02/03/16(土)

---最後の詰め---

明日の午後は丸山先生のスライドレクチャー。
その為、作業は今日と明日の昼までが山となる。

ともかく作業、作業、作業。

夕飯は近くのピザ屋へ。
その後ルブラックのスタッフ、ロハンと待ち合わせ。
街へみなで繰り出す。
しかし、スポーツセンターは遠い。
終電、終バスを気にしつつ。
我々数名は早めに帰還。

---今日のひとくちイタリア語---
finire
「フィニーレ、終える」

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02/03/17(日)

---ブルックセルワークショップ終了---

午前中最後の修正。
2時半から丸山先生のスライドレクチャー。
全てフランス語。
2時間半ほどで終了。

なんとか無事ブルックセルのワークショップは終了。
明日は夜行バスに乗ってフランスへ移動。

明日から、約一週間、建築探訪の旅となる。

---今日のひとくちフランス?語---
ボンボヤッジ!!
「よい旅を!!」

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02/03/18(月)

---ベルギー観光---

朝10時にスポーツセンターをチェックアウト。
まずアルマの駅へ。
ルシアン・クロールが設計した学生寮と地下鉄の駅を観る。
ガウディのような地下鉄の柱、迷路のような学生寮。
変形していくカタチ、自然のようなそうでないような。

ルシアン先生はベルギーではほとんど仕事がないらしい。
オランダや近隣の国での仕事が多い。

ここで、ルシアン先生と丸山先生の会話からの抜粋。
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ファサード(建築の表の顔の部分)も家具や内装のように考える。
オランダでは内装は入居した人たちが自ら行う。
そのため重要なのはわずかなルールのみを持ち込むこと。
それにプログラムの流動性と再生力だ。
その基本にあるのは、豊かさとは均一性に向かうことではなく
人々の生活や人生の多様性の中にこそあるというスタンスだ。
たとえばファサードは建築家が決めてしまうのではなく、住む人が
ここに食卓のテーブルを持っていきたいと考えればそこに窓が必要となる,
という風に毎日の生活や食や美とのハーモニーの内に導かれるものだ、、、、。
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ラディカルな建築家、ルシアン・クロール。
1970年代に設計した、大学の学生寮が世界的に有名。
住民参加、建築的プログラムの新たな可能性の提案として、
建築のポストモダンムーブメントの一翼を担った。
明らかにルシアン先生も20世紀建築の極北の一人だという気がする。
そしてルシアンの奥さんのシモンはエコロジカルなガーデンの設計が専門だという。
20世紀が夢見た、21世紀の理想郷。
それはどんなカタチをしているのだろう。

建築の先には、やはり常にユートピア(理想郷)がある。

---今日のひとくちイタリア語---
interesante
「インテレサンテ・興味深い」

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02/03/19(火)

---夜行バスはつらいよ---

夜10時半ブルックセルを出発。
朝の6時にフランスのディジョンに到着。
そこからドール駅へ。
朝8時過ぎにショーの製塩工場に到着。
仮眠して10時に再集合。
製塩工場内の施設を見学。

現在はユネスコ世界遺産に登録されており、
塩工場博物館とこの建物の建築家ニコラス・ルドウーの展示館&宿泊施設になっている。
現在は企画展「ユートピア(理想都市)の思想」展が行われていた。

昼食後、森へ。
この森はフランスで2番目の大きさの森とのこと。
この森に住む森の管理人に森を歩きながら3時間ほどのレクチャーを受ける。
森と共生してきたきこり達のこと。
産業革命がもたらした森林伐採。
フランス王朝が軍艦を造るために森を管理していたこと。
そしてなぜここがいまだ森として残っているのか、、。
氷河の名のこり、やせた地盤、等々。

この後グルノーブル建築大学の学生と行うワークショップの為に
この森とショーの製塩工場についてのイメージを広げる。

やはり丸山先生のワークショップは「食」がなにより。
夕食も昼食と同じ製塩工場向かいの一件しかないレストランで食べる。
ポテトと肉とおいしいデザート、それにワイン。チーズがうまい!!

夜はまた展示を観る。
なんでも宿泊している我々の為に通常は5時過ぎに閉めてしまう施設を
夜遅くまで開けていてくれるとのこと。

宿泊は製塩工場(サリン)内部、我々はオーギュスト・ペレの部屋に。
(全ての部屋に建築家や著名人の名が付いている)

---今日のひとくちイタリア語---
Bona Notte!!
「ボナノッテ!!、お休みなさい!!」

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02/03/20(水)

---ショーの製塩工場---

この施設の正式名称はサリン・ロイヤル
「王立製塩工場」
現在は世界遺産に登録されている。
ここは建築史的には非常に重要な場所&建物の一つだ。

まず、フランス革命直前の最後の王?のお抱え建築家ニコラス・ルドーによる設計
(ルドーは革命後は実際の仕事はなく、ペーパーアーキテクトとして一生を終える
しかし、その机上の作品が後世に多大な影響を与える)
であるということと、
それに、この施設が近代の工場という建築形態の一つの原点にあるというのと、
この施設を一つの理想都市として位置づけ、その形態を探求したという点が
あげられるだろうか。
実際には生産の為の全ての要素(工場、宿舎、監督官、農場、他の生活の為の工場)があり
それが、一望監視システム(パノプティコン)という形態をとり、王の管理下に置かれるという
構造を持っている。

そしてなぜここを訪れたのかというと。

---次なるワークショップ---

これが丸山先生の今回の第二のワークショップの始まりで、
それはフランスのグルノーブル建築大学の学生と1週間のワークショップを通じて
このショーの製塩工場の内部に仮設構築物をつくる案をまとめ、実際に
4月の後半にこの製塩工場でそれを製作するというものなのだ。
ああ、先は長い。

---しかし、今日はロンシャン、ゲーテアヌムへ---

しかし、そこは日本人。次から次と観てまわる。
朝8時朝食。
皆で貸し切りバスにのり一路ロンシャンへむかう。
ロンシャン、ロンシャンといっても建築を勉強している学生には
ピンとくるが、一般にはそんなに有名でないと思うのでここでちょっと説明。

20世紀の偉大な建築家ル・コルビジェの後期の傑作の一つといわれる教会。
コンクリートの自由な可塑性を利用した曲線、曲面を多用した作品。
それまでの、コルビジェのイメージである四角い箱からまったく連想できないような
形態といわれている。

それで、実際に観てどうだったか。
やはり感動したか、、。
実はこの年にして初めてコルビジェの作品(上野の近代美術館以外)を目の当たりにしたわけで。
これは分析するにはそうとう時間がかかりそうだと思われる。

とりあえず、夜な夜なスケッチブックに書き記した言葉を羅列すると。

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これは、何なのか? ? 
またしても、これは何なのか、、、。

アララト山に流れ着いた
あの箱船のように
それは、ある。

船底が宙にあり、それを見上げる

光に射られ、その井戸の底で沈黙する

これは建築=何なのか?

光、、、
闇。
幾多の言葉が流れ去り、閉じた瞳の中に空間が浮かび上がる。

ロンシャン黙考
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ハテナを抱えたまま、それでもバスは走る。
次はスイスに入り、バーゼルの近くドルナッハにある
ゲーテアヌムを見学。
こちらは、かの神秘思想家シュタイナーの原案に基づく建物。
有機的な形態。それにこの周囲一体がまるで一つの理想郷のように、
このシュタイナーの形態で溢れている。
丸山先生が早稲田の建築家、今井兼次先生が何を観たか?と自問している。
日本に初めてこのシュタイナーの建築を紹介したのが、かの今井兼次なのだ。

なんだか桃源郷にきてしまったような、あるいは新興宗教の総本山か、、。
しかし、とてもゆるやかな時間がここには流れている。
丘から見下ろすドルナッハの街はとても美しく。
建築がときたまみせるその力がここにはある。

---今日のひとくちイタリア語---
silenzio
「シレンツイオ、静寂、沈黙」

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02/03/21(木)

---どっこい今日はラ・トウーレット---

ツアーは続くよ。
今日は朝8時に朝食を取って、9時頃出発。
この製塩工場の近く、ムシャードの駅から一路リヨンへ向かう。

駅でパンを食べてL`ARBRESLEの駅へ向かう。
ここからラ・トウーレットまで歩いて20〜30分。
荷物を車に載せてもらって、我々は歩き。
なだらかな丘、静かな景色が広がる。
林の小道を抜けると、コルビジェのラ・トウーレットが現れた。

またしても判断停止。

何時間たっただろうか。むやみにスケッチをして。
混乱した視覚と頭を抱えたまま、
今日はこのコルビジェの箱で休む。

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ラ・トウーレット断章

木立の中にゆっくりと現れるコンクリートの稜線
だんだんとボリュームが見えてくる、しっかりとした輪郭

全く持って異質なコンクリートの壁面、しかし風景にいさぎよく立っている
初めて大地に降り立った人のように、、、。
これは何なのか?
カタチの戯れとしかし思考の極限に導かれる空間意識

四角いボイドの鐘楼、光の大砲の群、スリット、切り取られた風景、
反転された中庭、傾斜とスロープとリズムと水平と。
光と風と丘と大地と精神と、、、
それに空と地平と存在と、、、、それから、それから、、。
近代の自我が生み出したこれは一つの建築だ。
20世紀が到達した一つの極点がここにある。

この存在はどこまでゆるされているのか?
木立の先、草をはむ馬のひたいをなでる。
やさしい目をした自然と、、。
ここはどこなのか
そして私はいつの時にいるのか?

226cmラ・トウーレットの箱の中で。
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---今日のひとくちイタリア語---
confusione
「コンフュジョーネ、混乱」

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02/03/22(金)

---判断停止---

丸山先生がお疲れの様子。
昨日、このラ・トウーレットの修道士の解説を2時間近く、
我々に同時通訳してくださったせいだろうか。

ここから、グルノーブルまでは各自勝手に行動せよとの指令がでる。
もう一泊ここに泊まろうと交渉するも満室で駄目との回答。
仕方なく我々は下山してリヨンのユースに宿を取る。

ただ、今日はリヨンとグルノーブルの間にある
土の集合住宅を観にいく予定であったので、
何人かは丸山先生と行動を共にする。

リヨン駅で一端荷物を預け丸山先生の案内で
土の集合住宅と建築学校のワークショップ用施設を見学。
これはすごい。
日本にもこのようなワークショップ施設があれば、、。
リヨン建築大学とグルノーブル建築大学の2つの大学が
国、群、市の助成を受け、建築学校の先生方の努力の結果完成したとのこと。
施設はまるで工場のよう、モダンな造り。ライトコンストラクション、サスティナブルデザイン等々。
トラックが何台も横付け出来て、半野外のようなオープンな空間を造りだしている。
良くできた建築だ。

土の集合住宅の方はこの企画をとりまとめた教授自ら案内してくれた。
その土地の土を使い、熱効率の良さが売り。
しかし、この計画以降フランスではなかなかこの活動は広がっていないらしい。
もっぱら、アフリカ等への援助活動が多いという。

社会の中で建築になにができるのか、、。

---今日のひとくちフランス?語---
terra
「テッラ、土、地面、大地」

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