朝は少し晴れていたのでそのまま出かけたら
午後から雨が降り出した。
まだ出かけていないポイントにいく。
ヌオーボ城から海岸を望む。
雨に煙るナポリの街。
これも綺麗なもんだ。
傘も持たず、雨に濡れてちょっと疲れがたまったか。
今日は家でのんびりスケッチをする。
やっと10枚ほどポルタのスケッチが貯まった。
目標はあと10〜20枚。
10枚ほど描くと少しずつだがナポリのデザインの
特徴が解ってくる。
地味だがなかなかおもしろい作業。
---今日のひとくちイタリア語---
Piovere
「ピオーベレ、雨が降る」
さえない日曜。
CD屋に行って、2枚CDを買ってくる。
一枚はケルティック・コレクション
おそらくイギリスかアメリカのもの。
なんだかテレビドラマのシーンがよく似合うCD。
二枚目はイタリアの奥田民雄、ジョバノッティのCD。
こちらは新譜で3ユーロほど安くなっていたので買ってみた。
不思議なサウンド。
後でジョバンニに聞いたところ、ちょっとメッセージ性がある
ポコ(ちょっと)左翼だと言っていた。
なるほどそうやって聞くとそんな感じがしないでもない。
でも、なかなかヒット。
これを聞きながら今日はスケッチ三昧。
---今日のひとくちイタリア語---
Sinistra
「シニストラ・左、左翼」
今日は先週アカデミアの2年生と約束して
家でお昼を一緒に食べる予定。
しかし、彼女らは現れず。
代わりにシシリアーノのジョバンニとアレッサンドラを招待。
無理矢理、日本食を食べさせる。
先日、ナポリに2年ほどいるダイスケさんと話をしていて、
彼がお好み焼きをイタリア人に食べさせたところ、
美味しい美味しいといって食べているから、なんどか造っていたらしい
のだが、半月ほどたってからまた造ろうかといったら実はあんまり
好きではなかったといわれてショックを受けた話をしてくれた。
どうもイタリア人はそういうところがある。
大抵のものは美味しい、美味しいと言ってくれる。
しかし、食が進まなかったりするのだ。
以外と気を使うのだ。
だから、今日も恐る恐る食べてもらう。
ジョバンニは2度目、アレッサンドラは初体験。
味噌汁と海苔巻きと梅干しと卵焼き。
イタリアでもなんとか手に入る(梅干しは持参)
食材で須藤さんが造った料理。
案の上、美味しい美味しいといってくれる。
---今日のひとくちイタリア語---
Pranzo
「プランツオ、昼食」
前にロミオとジュリエットを観たのと同じ劇場。
どうやらこのメルカダンテという劇場は
ちょっと堅めの作品を上演する劇場のようだ。
今回の「オセロ」もナポリの劇団ではなく、
ベネツイア、フリウリ地方を拠点として活躍している
ベネト地方の劇団の巡業公演である。
ご存じシェークスピアの作品でベネツイアでの
物語であるので、おそらくこのベネト地方の劇団が
レパートリーにしているものだと思われる。
芝居の内容の方は、、。
オセロを演じたMichele Placidoという俳優が怪物。
ごだぶんにもれず、オセロは黒人の将軍ということで、
彼(白人)も顔を黒く塗っての役作り。
しかし、あまり違和感はなかった。
なんだろう、彼の迫力の方が勝っていたというか、、。
まるでガラスの仮面(古いです)の漫画のように、
「ああ、オセロが乗り移っているわ!!」といった感じの演技、、。
怪物はいるものだ。
演出はオーソドックスな感じ。
ただ、美術的な効果なのか演出家の意図なのかわからないが、
ちょっとだけ前衛的だったか。
ラストシーン、オセロが妻をベッドの上で殺すとき、
牢屋を意識した鉄格子(木製)がまず背後、舞台一杯に下りている。
そして正にオセロが妻を殺したあと役者の前方に同様な格子が下りてきて、
その後は格子越しに演技が展開される。
いわゆる禁じ手である、役者の前に物体を持ってくるということをやっている。
まあ、青年団ではよくあるのだが、、。
しかし、効果としてはちょっとくどかっただろうか。
死んだ妻の頭の部分だけベッドの端からはみ出て、格子の隙間から
唯一こちら(客席方向)に出ているという演出など、
あまりにも象徴的すぎて少々うるさいと感じた。
また冒頭のシーンで機械仕掛けでセットの一部が
我々の分析ではおそらく本当はあの機械仕掛け、後半のシーンで
再びでてきてベッドになるはずだったのが、実際の舞台ではちょっと
サイズと角度の問題で使われなかったのではないか、、ということ。
確かにそう思わせるほど、もったいない仕掛けであった。
---今日のひとくちイタリア語---
Desiderio
「デジデーリオ、欲望」
連続観劇2日目。
今日はアカデミアの目の前にあるテアトロベリーニでの観劇。
この作品の原作は1973年のカンヌ映画祭で賞をとった作品との事。
その舞台化。
ローマの劇団Teatro Eliseoの巡業公演。
やはりナポリは巡業でくる公演が多い。
物語は第二次世界大戦前、田舎からパリにやってきた
一人の青年が、パリの売春宿にやってくるところから始まる。
売春婦との出会い、彼女たちの身の上話等で一幕が終わる。
そして二幕、主演の売春婦の元にやってきた一人の老人の
死から急展開する。
青年は実はアナーキストの一人で、このパリにムッソリーニを
殺しにやってきていたという事実。
そしてその犯行予定日の前夜売春宿で好きになった別の売春婦と一夜を
共にしてから実行に向かう。
しかし、その朝彼は彼女らの策略により、寝坊してしまう。
そして情けない結末。
今回みた芝居、イタリアに来て観た中で一番庶民的だったか。
いわゆる商業的というか。
エンターテイメントとしての要素が強かった。
主演の女優もイタリアでは有名なテレビ女優(Guliana De Sio)らしく、
どうも客席の多くの老紳士たちは彼女目当てといった風。
イメージとしては新宿のコマ劇場でやっている部類のお芝居である。
しかし、さすがにコマーシャリズムというか、役者は粒ぞろい。
はずれがない。
ただ、セットがどうも他の劇場での上演も考慮してか、
傾斜が付いたセットになっているのだが、このベリーニ劇場の床面は
すでに5〜7%の傾斜が付いており、かなりの急傾斜になってしまっていた。
観ている観客の方がなんだか役者がすべりそうで不安になる舞台。
色彩も売春宿ということで、階段と傾斜する背面パネル前面の黒地に
赤のバラの模様が入ったケバイ感じの色彩。
これだけだと効果としてはいいのだが、同じ様な色彩や柄の衣装を着た
俳優達がどうも保護色となってしまい際立って見えてこない。
ちょっと残念。
---今日のひとくちイタリア語---
Campagna
「カンパンニャ、田舎、田園地帯」
結局トニーノさんがチケットを取ってやると
言ってくれていたのだが、ついに最終日となってしまった。
前回、ローマでの痛い経験から今回は最後の最後まで待って
からやはり自分でチケットを確保。
せっかくサンカルロの美術監督にも会い、
仕込みの現場も観させていただいたので、やはり観ておきたい。
こちらは次何年後に見れるかわからないのだから、、。
この演目は去年の10月にベネツイアのテアトロ・マリブランで
初めてオペラを観たときと同じ演目。
ただし、プロダクションは全く違う。
同じ演目を違うプロダクションで観るというのはやはりとても勉強になる。
全体としては今回のこのサンカルロでの演目の方がレベルが高かっただろうか。
前回ベネツイアで観たときは主役のタンクレディ(男の役を女性が行う)の女性の
声がヒステリックな感じで、楽曲の魅力もあまりないのではと感じたのだが、
今回は指揮者の方が良いのか、オーケストラ全体の響きがとても柔らかく、
タンクレディも前回と比較にならないほどまろやかな歌声であった。
それに相手役の女性の声がとても魅力的で、少なからず感動を覚えた。
舞台のイメージや衣装、演出といった要素が視覚的には大きく作品を左右
するが、指揮者の違いでこれだけ全体の作品のイメージが
変わるのかというのに、オペラの難しさと同時におもしろさがある。
それでトニーノさんの工房も加わった今回の舞台美術であるが、
美術家はイタリアでとても有名な現代彫刻家であるパラディーノ。
私もどこかでその作品をみたことがある程有名な作家。
パラディーノのマスタープランに基づき、ナポリの舞台美術家
おそらくトニーノさんの先輩が実際の舞台化への管理をし、
ここサンカルロの劇場の地下にある工房や
トニーノさんの工房、ローマ、ミラノの工房で実際の装置を造り、
舞台が実現している。
当日のパンフレットにパラディーノのオリジナルイメージのスケッチが
載っているのだが、本物もほぼそれとかわりないイメージで実現されている。
しかし、なんだろう私にはどうしても空間が弱いように感じた。
まるでパラディーノの作品展をオペラの音楽を聴きながら観ているような感じといったらよいか。
俳優が置物のようになっているというか。
おそらく俳優や歌がなくともパラディーノのこのオブジェや絵画があれば、
それだけでこのオペラは成立している。実際に舞台でこの空間で実現することの
意味よりもその抽象的観念の方が強いという舞台。
背後を飾る絵やオブジェの方が俳優より強い舞台。
それは舞台の上で動く人とともに空間を創りだしていない。
舞台は一枚の絵や一つの彫刻作品の単なる集合ではないということを
今日の舞台を観て改めて強く感じた。
---今日のひとくちイタリア語---
Carta
「カルタ、紙」
劇場づいている。
3日連続観劇が終わったとおもったら今日は
ナポリから高速で30分〜40程、カゼルタの
王宮内にある小劇場を見学できるという。
トニーノさんがアカデミアの授業の一貫で上演予定の
ピカソの作品をこのカゼルタの小劇場でも上演したいと考えて、
今日は学校の舞台技術の教授とともに下見にいくという。
それで私も同乗させてもらうことに。
カゼルタはナポリのブルボン王朝の最盛期の王宮。
ベルサイユ宮殿を模して17世紀に建造されている。
海から背後の小高い丘にまで続く巨大な庭園が有名。
そしてこの小劇場は通常、見学許可を取らないと見られないという所。
そこを今日はアカデミアの別の教授がこのカゼルタ王宮の美術ディレクターの
知り合いということで、見学可能になったらしい。
いかにもイタリアらしい流れ。
滅多に観られないということで少々緊張しての下見。
しかし、劇場はすばらしい。
保存状態がとてもよく、おそらく客席内部の装飾は創建当初のもの。
オペラ劇場をそのまま小さくしたようなカタチをしている。
担当者いわく、壁面は全て石風の模様が描かれているが音の響きを
考慮して木製になっているという。
そしてこの規模の劇場が残っているというのはイタリアではめずらしいらしく
その点でも貴重な劇場であるらしい。
平場の部分はちょっと舞台から低すぎて観にくい高さなのだが、
周囲のパルコの客席部分は程良い規模でパルコの部分を
重要視していた当初(王宮内ということで
ほとんどはパルコのみに貴賓は入ったのではないか)としては
おそらくとても見やすい造りになっている。
舞台の床は木。やはり5〜7パーセントの勾配が付いている。
そしてもう生地の繊維が劣化しているおそろしく古い背景幕が残っている。
間口が9mほどで幕の下場までで7m程の高さであろうか、
その上部にさらに幕のみで3〜4m程の高さがある。
巨大な井戸のような劇場。
日本でいえば歌舞伎の劇場が定型化した頃の時代のもの。
横に長く、水平に広がる日本的な視覚のあり方との違いを実感する。
---今日のひとくちイタリア語---
Giardino
「ジャルディーノ、庭、庭園」