なんだか春のような陽気が続いている。
日中の海岸沿いなんか、、Tシャツ一枚でランニングしている人がいる。
でも、曇ると急に肌寒くなったりする。
ナポリの春はすぐそこまで来ている。
スズケンが去ってから、今一度ナポリについて考え始めた。
さすがに4ヶ月近く住んでいるので、危ない地域とそうでない(であろう)
地域が段々解ってきた。
特にそれが、時間帯によってまったく変わるといのもなんだがイタリアっぽい。
再三、ナポリはバロックの街だと書いてきた。
そして最初は嫌いだったこの装飾もなんだか見慣れているうちに
そのおもしろさがなんとなく解ってくるから不思議なものだ。
見慣れるとそのカタチを理解する鍵が見えてくる。
ああ、あのモチーフはここにもあったな、とか、
あの扉のあそこのカーブはさっきのと比べるとあまり美しくないななどと、
街に散らばったナポリっぽさがなんとなく解ってくるのだ。
それで、今回はナポリのポルタ(教会やパラッツオへの入り口の門と扉)に
注目してスケッチを始めた。
実はベネツイアでは扉の取っ手にいろいろな種類がありそれがおもしろいので、
トッテモベネツイアと称してデジカメで取っ手の採集をやったのだ。
だいたい120種類くらいの取っ手の写真を集めただろうか。
おそらく、これもまだまだ、全貌にはほど遠い数字だと思われる。
しかし、あの小さな街にこれだけカタチの異なる取っ手があるとはやはり驚きだ。
ホームセンターや東急ハンズなどで見る均質な製品を
見慣れている私にとってそれはやはり信じられない数だ。
一品一品が職人による作品で、中には普及している一般的な型がないわけでもないが、
やはりこの一品一品の作品に目がいってしまう。
と、こういう流れでナポリっぽさを探していたら、
4ヶ月目にしてやっと大きな扉が見えてきたというわけだ。
我が家の入り口も6m近い高さがあり、これが当たり前のナポリのことだから、
きっといろいろなカタチの入り口があるに違いないと思い採集に出かけた。
ざっと2、3日歩いてだいたい30〜40くらいのおもしろいポルタに出会っただろうか。
そしてデジカメで採集してきたポルタをパソコンの画面を見ながらスケッチするのだ。
一枚仕上げるのにだいたい3〜4時間くらいだろうか。
しかし、これがなかなかおもしろい。
ポルタのデザインをなぞるとそれをデザインし設計した人の
意図が見えてくるのだ。
とりあえず、今はまだ4枚。
なんとか一つの作品に仕上げたいと思っている。
---今日のひとくちイタリア語---
Porta
「ポルタ・扉、門、城門」
今日は日本人ばかり集まって、またまたフェスタ。
調律師のノブさんの家で魚を食べるという会。
一ヶ月ほど日本に帰っていたダイスケさんが
お好み焼きを焼いてくれた。
ああ、日本な夜。
ノブさんの家の窓からはオレンジ色のネオンに照らされた
南国植物の生えたどこかの庭が見えた。
---今日のひとくちイタリア語---
Cena
「チェーナ、夕食」
今日はアカデミアにトニーノさんは来ず。
助手のレオナルドさんとしばし談笑。
一年生が模写している室内の絵はどこで手にいれられるのかと
聞いたところ、明日本をもってきてくれるとの事。
レオナルドさんはどうも本好きらしい。
ことある事に魅力的な本を学校に持ってくる。
今日の午後は語学学校は無し。
晴れ渡ったナポリを散歩しよう。
しかし、最近はテーマがある。
そうポルタである。
あたらしいポルタを探して、今日はまだあまり足を
踏み込んでいない地域に出かけてみる。
ナポリの旧市街を囲っていた城壁があったエリアの外、
昔はここは人の来ない谷間の地でどうやら墓地のエリアで
あったと思われる。
現在でも教会の地下にカタコンベを見ることができる。
しかし、逆にあまり古い地区でないから、おもしろい建築や
ポルタにも出会う確立が低い。
そして、街区としてはちょっと危険とも言われている。
じっさい谷間の地区なので、なんだか空気も淀んでいる。
結局あまり収穫のないまま、そそくさと高いエリアへ引き返す。
ナポリを歩けば歩くほど、今住んでいるエリアがいかに昔から
重要な地帯であったかが解る。
---今日のひとくちイタリア語---
Pericoloso
「ペリコローゾ、危険」
アカデミアの後、またポルタの採集に出かける。
今日はキアイア海岸からちょっと丘の方に入った地区。
そこから丘の上モンテサントの下を目指して歩く。
眼下に広がる海がとても綺麗だ。
春はそこまで来ている。
日本の季節の変わりめとことなり、
このナポリは乾燥している。
段々と暖かくなると同時に湿度が上がっていく日本とは違う。
冬の日よりも空気は澄み、空がより青くなっていく。
地中海の春。
なんだかそわそわするのは、やはり同じ春だ。
---今日のひとくちイタリア語---
Primavera
「プリマベーラ、春」
ナポリが古代ギリシャの植民都市、ネアポリスであったころの
地図(絵)が載った本を手に入れた。
これによると、私が今住んでいる家から100mといかないところに
古代ギリシャ劇場があったことになる。
実際にそのエリアを歩いてみると、確かに現在の建物の
外壁が円形劇場の外壁があったラインをそのままなぞるように建っている。
軽くカーブを描きながら、道が続いている。
確かに碁盤の目のようなナポリの旧市街にあって
ここだけは道の感じが違う。
2000年以上前の都市の記憶がそのまま現代にまで生きている。
ナポリの歴史の深さを実感する。
また、先日訪れたサンタ・キアラ教会の下にはローマ時代の
浴場があったらしく、ここも発掘されて見学できるようになっている。
最初はこのナポリのバロックの衣装をまとった
華やかだったころのナポリが目についた。
しかしポンペイやエルコラーノそしてパエストムやポッツオリと
周辺のギリシャ、ローマの遺跡を目にして、段々とこの
ナポリの街の原形が見えてくる。
ポンペイで見た住居形式が現在のナポリの街でも今だ
その基本構造になっているという推論は以外と的を
得ているかもしれない。
---今日のひとくちイタリア語---
Scavi
「スカーヴィ、遺跡」
今日はアカデミアのテストの日だ。
こちらは私は見学のみ。
しかし午後の語学学校もなんと今日は到達度をみる小さな試験がある。
空はなんだか雨模様。
午後からはちょっと回復してきたが。
まず、アカデミアの試験について。
こちらではエザミという。
日本のようなテストを想像していたのだが、まったく違った。
どちらかというと先生との面談といった感じ。
ただ、イタリアなのに空気はとても重かった。
先生の厳しい質問や追求に泣き出す生徒も、、。
試験は朝9時から行われた。
しかし、そこはイタリア、トニーノさんは10時すぎてからの登校。
私は9時ちょうどに登校。
9時の時点で2,3人いただろうか、それから10時までで、
ほぼ試験を受ける人(今回は15人ほど)はみな集まった。
最初に出席を付けた人から順番に先生の元に呼ばれて、
持ってきた課題をもとに面接が行われる。
一人だいたい10〜30分。その場で生徒の課題を見ながら先生が点数を付けていく。
結果がその場ででるのが、なんともイタリア式。
それで、泣き出す生徒もいるわけだ。
しかし、出来の良い生徒ほど面談の時間も少なく、先生も語ることが少ない。
だれかが、作品について説明しようとしたら、
トニーノさんが、「静かに!作品が語るからだまってて!」といったのは印象に残った。
確かに、作品を見てそれを理解出来る人に言葉はいらない。
しかし、面談で時間のかかる生徒にはトニーノさんは
物凄い数の言葉を浴びせかける。
舞台美術とはなんなのか。あなたはどう考えているのか。
これはどうしてこういうカタチをしているのか、、。
カタチを言葉にして、また言葉をカタチにすることのむずかしさ。
しかし、それが勉強なんだと解る。
満点が30点、最低でも20点。
前回の試験の評価を見せてもらったが満点は一人のみ。
しかし、今回は3人。
なんと友達のシシリアーノの3人だった。
ジョバンニとフランチェスコとアレッサンドラ。
私は横で生徒と先生の面談をみているのだが、
フランチェスコの面談の時などは、生徒全員が覗きに来ていた。
それほどに良くできた作品だった。
彼らの作品を是非、突貫屋や桜美林の学生に見せたい。
それほど、力の入った作品であった。
印象的だったのは、その作品を見てトニーノさんが
「すばらしいものを見せてくれてありがとう」と生徒にいったことだろうか。
それに引き替え午後の私の語学学校のテストは惨たんたるもの。
ああ、やっぱり語学は向いてない。
---今日のひとくちイタリア語---
Esami
「エザミ、試験、テスト」
めずらしくナポリに雨が降っている。
気温も低く、肌寒い。
やはりこちらにも3寒4温はあるのだろうか、、。
今日は3ヶ月通った語学学校最後の日。
ベネツイアでは2ヶ月。
ナポリにきて3ヶ月。
ああでもまだイタリア語は全然だ。
やはり語学学校に通っていると、他の事をするのに時間がとられるので、
この3ヶ月でとりあえず一区切りとして終了することにした。
過去形と未来形、命令形くらいまでは教わったのであとはなんとか
現場で修得といくしかない。
ああ、先は長い。
---今日のひとくちイタリア語---
Ultimo
「ウルティモ、最後の」