スズケンはローマに去って言った。
ボン・ビアッジョ!!(良い旅を!!)
一方我々は、
ナポリから南の方へ、海岸線を電車で1時間半ほど下ったところにある、
ギリシャ時代の植民都市パエストム(元の名はポセイドニア)に向かった。
今日も天気がいい。
喧噪のナポリを離れ、田舎駅パエストムに降りたつ。
各駅停車しか止まらない静かな駅。
我々が降りた時も、他に2人ほどしか降りてない。
目の前に畑が広がり、背後に巨大な岩山が見える。
この岩山を列車からみた時に相変わらず勝手な想像を膨らませた。
きっとパエストムはあの山と関係をもった配置になっているに違いない。
それほどにこの岩山は印象的な容貌をみせている。
しかし、これはあながち勝手な想像でもない。
ギリシャ神話ではゼウスは山に住んでいることになっている。
アクロポリスも丘の上にあり、現にナポリの近郊、先日訪れたポッツーリの先にある
クーマという地域にはギリシャ時代の神殿がその山の上に築かれている。
だから、きっと植民都市としてその地域に入植したギリシャの人々は
その自然の地形、配置に気を配ったに違いないのだ。
故郷の地を連想させる地形。
このパエストムにもその原理が働いているのではないか、、。
駅を背にしその岩山を背後に感じながら、海の方へパエストムの城壁の中を進んでいく。
周囲は一面の畑だ。
道ばたには小さな黄色い花が咲いている。
ここパエストムはもう初春の陽気だ。
遺跡に到着。周囲1キロ以内に広がる遺跡の中をゆっくりと歩く。
始めてみるギリシャ時代の遺構。
歩き回るうちにだんだんとこのパエストムという小さな都市の骨格が見えてくる。
まず、アテネ神を祀った神殿の近くに佇む。
やはり、そうだ、遺跡の中にある配置図を見ると、
3つの巨大な神殿だけ他の主要な施設(アゴラやフォーラム)や住居跡とは
微妙に角度を異にして、しかし同一の方向を向いて立っているのだ。
そしてその先には見事にあの巨人の背中、岩山がある。
さらに、道を歩いて感じるのはその都市の計画性だ。
ナポリの地形で感じた直交する都市軸、あれはやはりギリシャ時代からあったものだと
このパエストムを歩いて確信する。
主要な神殿、フォロを繋ぐ中央の道(聖なる道)には
ポンペイで見たよりもさらに巨大な石が隙間無く綺麗に敷き詰められている。
この道は遙かローマを越えギリシャに通じている。
やっとここまで来た、、。
風化した白亜の大理石の円柱の溝に、早い春の日差しが美しい光と影の戯れを浮かび上がらせる。
あまりにも単純で力強いこのギリシャの円柱たち。
光と影と存在と、、。
そこにあるのは、それだけだ。ただ、ただ、それだけだ。
ギリシャ時代のこの神殿の遺跡を見上げ、また時間が止まる。
ここまで来た。さて、これをどう思考する?
のどかな陽気のパエストムをゆっくりと歩き回りスケッチをする。
この単純で力強い柱をスケッチしながらまた我々の時代を考えている。
今はいつなのか?
果たしてこのギリシャのパエストムからどこまで来れたのだろうか?
「海神」という、平田オリザ作の青年団作品があった。
それは海から引きあげられた一本の槍を持った海神ポセイドンの彫像の目を開くという
不思議な話だったと思う。
ポセイドンが向けたその槍と見つめたその視線の先にヨーロッパの2000年が横たわる、
果たしてポセイドンはその槍でなにを射ようとしていたのか、、。
このパエストム=古代ポセイドニアで私も
そのポセイドンが射ようとした射程を無謀にも計ろうと試みる。
しかし、そこにはまだまだ早いこの春の、
のどかに霞んだ空気の中にただただ青い空があるだけだ。
---今日のひとくちイタリア語---
Ci vediamo!!
「チベディアーモ!!・また会いましょう!!」
スズケンを送りだして、疲れが出たのか、
昨日の昼過ぎから頭が痛い。
薬を飲んで今日はのんびり過ごす。
夕方、日本人の友達と近くのカフェでお茶をして、
インターネットポイントでメイルを見て、日記を書いて、、。
ああ東京と全く違う、のんびりとした日曜が過ぎていく、、。
---今日のひとくちイタリア語---
Pausa
「パウザ・休憩、小休止」
2月のこの時期のイタリアはどこでも
カルニバーレの季節だ。
有名なのはベネツイアのカルニバーレで、こちらは
観光客も参加しての一大イベントとなるらしい。
私はナポリでアカデミアの学生達と一夜を過ごすことになった。
ともかく明日が一応祝日(学校は休み)で、
明日の夜が一番騒然とするらしい。
どう騒然とするかといえば、子供が例の
スプレーをまき散らしたり、特にひどいのは
生卵をぶつけるというやつ。
私も通りで何人かこの被害にあっているイタリア人を見かけた。
だから、今日は須藤さんは家で待機。
恐れをなして今日明日は外に出ないと決めたようだ。
仕方ないので私ひとりでジョバンニ宅で催されるフェスタに参加。
何人きてただろうか。
15〜16人というところだろうか。
彼と同居のフランチェスコの部屋がボールルームと化し、
もう一人の大きなジョバンニ(こちらは体がでかいので)が持ち込んだ
スピーカー&ミキサーで即席デスコテッカ(クラブをこちらではこういう)になっていた。
近所から迷惑こないのだろうかとこちらが心配になるほどの爆音でみな
踊りまくった。
こちらナポリのこの学生達のカルニバーレでは自分が好きなコスチュームを着る。
しょうがないので私は帽子とピストルを紙でつくってジゲンに一応変装。
ジョバンニがドラキュラ、相棒のフランチェスコが土人、綺麗なフランチェスカは
天使、先日誕生日にピクショナリーをやったエツイオは相変わらず、変な妖精。
彼女はピノキオ、、とこういう風に皆こりに凝ったコスチュームを身につける。
部屋で隠れて変装して皆を驚かすというのが狙いのようだ。
それだけで、1〜2時間くらいかかっただろうか。
その後は知らず知らずの内にダンスタイムとなり、今夜もまた朝の3時くらいまで
盛り上がりました。
---今日のひとくちイタリア語---
Festa
「フェスタ・パーティ」
半年に一度くらいだろうか、
完全に体が全てを拒否する日がある。
昨日のフェスタでサングリラ
(ワインとグラッパとフルーツと砂糖を混ぜた特性の酒)
を飲み過ぎて、いわゆる2日酔い。
一日ベッドにダウン。
また、明日。
---今日のひとくちイタリア語---
Ubriaco
「ウブリアコ・酔っぱらい」
体調不良の為、アカデミアは欠席。
午後の語学学校のみなんとか出かける。
今日は特にニュースなし。
---今日のひとくちイタリア語---
niente
「ニエンテ・まったくない」
今日も語学学校のみ。
ところでバレンタイン。
イタリアではセント・バレンティーノの日というそうです。
で、こちらでは特に女性から男性へプレゼントをあげる日、
ということではなく、恋人同士がお互いにプレゼントを贈り合う日だそうです。
彼女になにを送るのか?と質問されて、
日本では女性から男性に送る日だと説明したら、
なんて女性蔑視なんだと糾弾されてしまった。
どうも日本にはそういうイメージがあるらしい。
カサリンガ(専業主婦・家事全般)は日本人男性は全くせず
女性が行っているという、、。
一応3月14日の日は説明しておいたけど、どうも
そのような日はこちらにはないらしい。
日本のホワイトデーはどこから来たのだろうか、、、。
ちなみに同じクラスのメキシコの女の子の説明によると
メキシコでは男性がミュージシャンを引き連れてやってきて、
愛の歌を彼女の家の前で歌うそうな、、。
うーん、世界は広い、、。
---今日のひとくちイタリア語---
Bacio
「バッチョ・キス、有名なチョコの名前でもある」
一週間ぶりの工房だ。
バスに乗って走るナポリの街は
もう春のような陽気だ。
ただ、午後に曇ったり風が吹くと、
急に肌寒くなる。
青年団だよりが工房に届いていた。
電話線を借りて、メイルを送る。
そして重要なメイルを受信する。
インターネットポイントでも送れるのだが、
結局自分のパソコンではないのでその場で
文章を考えて打たないといけない。
そんな長い文はその場では打てない。
トニーノさんがナポリの2001年度の舞台美術賞を
取ったらしい。
どの作品で取ったのかはまだ聞いていないが、やはり
今一番勢いに乗っている美術家ということだろか。
まあ、青年団も「上野動物園〜」で読売演劇賞・作品賞を
受賞したとのことだし、、。
とりあえず、良かった良かった!
---今日のひとくちイタリア語---
Premio
「プレーミオ・賞」